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雑穀の起源と伝播およびその食文化の解明に多大な貢献をした民族植物学者・阪本寧男。

本書は、阪本が生まれ育った京都での日々と、その後の研究およびフィールドワークをふりかえった自伝的エッセイ集です。

京都・東山での自然とのふれあい、学生時代の思い出、国立遺伝学研究所での仕事とミネソタへの海外留学、フィリピンでの調査の日々等がユーモラスな筆致で綴られた、既刊の一般書には未収録の原稿71篇を収録。

諧謔精神に富んだ「天邪鬼」にして「アルキニスト」の生き方が、自然を愛し、学び続ける人びとの心に勇気を与えてくれる、示唆に富んだ一冊です。
 


■もくじ
●1 はじまりは山の中
水は天から貰い水/樹の上の小屋と小さい畑/タヌキの餌付け/桃色インコ/身近な魚たち/山の野生動物/山科北花山における男の子の四季の遊び

●2 私の「すいば」
「すいば」とは/私の生まれ育った場所/私の「すいば」/ゲンジ捕り/ヤンマ釣り/イナゴ捕り/サムライグモ/虫のこと

●3 山の植物たちとの出会い
イバナシ(イワナシ)──里山の最高の果物──/ユリ/イチゴ摘み/イタドリの水車/赤い実、青い実/クリ採り/マッタケ山/ウルシかぶれ

●4 少し青い日々
竹細工の手工から気付いたこと/映画『愛染かつら』/S造/カマイタチ/電燈/「外つ国」の実と花/お稲荷さんに参詣する人びと/自殺

●5 学生時代と敗戦
渋谷道/ママコノシリヌグイ/工場動員──旋盤工として──/京都の町の防火線づくり/「最初のレッスン」──阪本寧男(卒業クラス1組)/イモの買出し──聖夜の奇妙な遠足──/綽名から見える中学教師群像

●6 異国への旅立ち
一冊の本/天邪鬼発見!/〝アルキニスト〟のメモ──立山連峰縦走──/一九五三~一九七二/なぜアメリカへ渡航することになったか/ミネソタ州立大学にて/ミネソタでの仕事/ミネソタでの生活素描/フィリピンへ/F先生のミカンの木/Abyssinia小唄/太宰治と三島/ある手紙/三島にて

●7 植物たちとの旅
カボチャの両性花について(昭和二四年)/腊葉(押し葉)標本と私/ブドウのルーツを探る──ブドウのふるさとを訪ねて──/近江・金屋千草盆とヒモゲイトウ/モダマの仲間/スイタクワイ──半栽培植物の一例──/三島における花の四季/〝無茶苦茶〟/私のドングリ・プリン(トトリ・ムック)の作り方

●8 天邪鬼の生物学、これでいいノダ
ヒト──わかっちゃいるけどやめられない生物/ヒトは自然によって保護されているのだ!/民族自然誌研究会の発足/「アルキニストの会」とは/天皇家の夕食に招待された件/『天邪鬼の事典』(加茂 治編:順不同・未発表)/元祖天才バカボンのパパ/〝きのこ〟は〝奇の子〟/SADAO体操/海外調査における私の遭難記録

●あとがきにかえて

京都の里山を駆けぬけて──アルキニスト/民族植物学者の哲学と軌跡

¥1,800価格
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